船釣りを始めてみたいと思っても、「どのような流れで釣りをするのか分からない」と不安に感じる初心者の方は多いでしょう。
私は元遊漁船船長として37年間海に出て、多くの初心者の方をご案内してきました。初めての船釣りでも、事前に一日の流れを知っておけば、安心して楽しむことができます。
この記事では、遊漁船の予約から出船前の準備、タイラバの釣り方、魚の取り込み、帰港までの流れを、実際の船長経験をもとに分かりやすく解説します。
①遊漁船を予約する
船釣りへ参加するには、まず遊漁船を予約します。電話やホームページなどで予約するときは、初心者であることを船長へ伝えておきましょう。
予約時には、次のことを確認しておくと安心です。
- 集合場所と集合時間
- 当日に狙う魚と釣り方
- 料金と支払い方法
- 用意する釣り道具や仕掛け
- レンタルタックルの有無
- ライフジャケットや氷の有無
- 出船中止の場合の連絡方法
分からないことは遠慮せず、予約するときに船長へ確認してください。初心者歓迎の遊漁船を選ぶと、道具の使い方や釣り方も教えてもらいやすく安心です。
②出船前に準備する
船釣りを安全に楽しむためには、服装や持ち物の準備が大切です。
釣りに適した服装を準備する
- 滑りにくく、動きやすい靴を履く
- 風で飛ばされないよう、ひも付きの帽子を用意する
- 急な雨に備えて、雨具を準備する
- 季節に合わせて、防寒対策や日焼け対策をする
スパイク付きの靴は、船のデッキを傷つけるため厳禁です。
また、長靴は海へ転落した際に自分で脱ぎにくく、危険につながる可能性があるためおすすめしません。
ライフジャケットを持参する方も増えていますが、忘れても大丈夫です。船には定員分を用意していました。
③乗船してから釣り場へ到着するまで
乗船後に確認すること
- 乗船者名簿に、氏名・住所・生年月日などの必要事項を書いてもらいます。
- ライフジャケットを持っていない方には、船に用意しているものを着用してもらいます。
- 当日の行き先や狙う魚、仕掛け、エサの付け方、大まかな一日のスケジュールを説明します。
- 釣り座は、乗船者全員にくじを引いてもらい、公平に決めていました。
船が走っているときの注意点
- 子ども連れのお客様には、子どものライフジャケット着用を確認し、航行中は目を離さないようお願いしていました。
- 船酔いしやすい方で酔い止め薬を持参している場合は、用法・用量を守って早めに飲んでもらいます。また、近くの揺れるものではなく、遠くの景色を見ると酔いにくいこともお伝えしていました。
- 航行中に立ち歩くと、船の揺れで転倒したり、海へ転落したりする危険があります。そのため、船が走っている間の立ち歩きは禁止していました。
④タイラバ釣りを開始する
よく釣れた日の様子
くじ引きで決まった釣り座で、タイラバの仕掛けを準備してもらいます。
船はシーアンカーを使って流すことが多く、これまでの経験をもとに、釣果の良かったポイントを通るように船を流します。
船が予定の場所を流れ始めたら、マイクで水深や、魚群探知機に映っているベイト、漁礁の状態などを伝えます。そして、船長の「釣り開始」の合図で、タイラバを海へ落としてもらいます。
条件の良い日は、釣りを始めてすぐに、誰かの竿に真鯛がヒットします。
水深50~100メートルのポイントを流し、船の下に真鯛の群れが入ると、船内のあちらこちらで次々と真鯛がヒットします。
タイラバ初心者に伝えたい7つのポイント
①フォール中も竿先から目を離さない
タイラバは、仕掛けを落としている途中に真鯛が食いつく「フォールヒット」があります。そのため、仕掛けが落ちている間も集中して、竿先やラインの動きをよく見ておきましょう。
一定の速さで落ちていた仕掛けが、急に上へ向かったり、違う方向へ引っ張られたりしたら、フォールヒットの可能性があります。
変化に気づいたら、すぐに巻き始めて、真鯛とのやり取りを楽しんでください。
②着底したら、すぐに巻き始める
タイラバでは、基本を守れば根掛かりはそれほど心配しなくても大丈夫です。
大切なのは、着底を感じたら、すぐに巻き始めて海底から仕掛けを離すことです。海底に仕掛けを置いたままにすると、根掛かりする可能性が高くなります。
③竿尻を脇に挟み、一定の速さで巻く
タイラバで真鯛を釣るために、特に重要なのが一定の速さで巻くことです。
初心者の方は、竿尻を左脇にしっかり挟んで固定してください。竿尻を自由にしたまま巻くと、竿先が上下左右に動き、ネクタイの動きも安定しません。これでは、真鯛から見て自然なエサの動きに見えにくくなります。
以前、あるお客様から「ほかの人は釣れるのに、なぜ僕には釣れないのでしょうか」と尋ねられたことがあります。
巻き方を観察すると、左手で竿を持っているだけで、竿先が自由に動いていました。そこで、竿尻を左脇に挟んで固定するようアドバイスすると、そのお客様はすぐに真鯛を釣り上げました。ご本人も大変驚いていました。
竿を固定したら、ハンドルが一番上に来たところから、声に出して「1、2、3……20」と数えながら巻くと、一定の速度を保ちやすくなります。
④真鯛が当たったとき、すぐに合わせるのか
当たりがあったときの対応には、いろいろな考え方があります。
すぐに合わせる方法もあれば、そのまま一定の速さで巻き続ける方法もあります。両方を試しながら、自分に合った釣り方を見つけていくのが一番です。
⑤隣の人と糸が絡んだら、まず「すみません」
船釣りでは、潮や風の影響によって、隣の人と糸が絡むことがあります。
どちらに原因があったとしても、まず「すみません」と声をかけましょう。お互いに気持ちよく一日を過ごすための、船釣りの大切な心遣いです。
⑥ドラグ調整は、仕掛けを入れる前に行う
ドラグ調整は、大きな真鯛が掛かってから慌てて行うものではありません。
仕掛けを海へ入れる前に、あらかじめ適切に調整しておくのが基本です。事前に調整しておけば、大きな真鯛が突然掛かっても、落ち着いて対応できます。
⑦玉網には、魚の頭から入れる
玉網を近づけると、魚は逃げようとして激しく暴れることがあります。特に玉網の直前で急に方向を変えることがあるため、最後まで油断できません。
魚の尾の方から追いかけるのではなく、頭の方から玉網ですくうと、取り込みに失敗する確率を下げることができます。
⑤真鯛が釣れたら取り込む
釣れた真鯛は、私が1匹ずつ玉網ですくい上げていました。
大きな真鯛が上がったときは、魚を持ったお客様のニコニコした表情を、釣果写真としてバッチリ撮影します。
タイラバ釣りで一番盛り上がるのは、真鯛特有の「三段引き」が始まった瞬間です。
竿を大きく曲げながら、真鯛とのやり取りを楽しむお客様。その表情を見ていると、まさに至福のひとときを味わっておられることが伝わってきました。
釣り上げた後は、少しかわいそうにも感じますが、神経締めと血抜きを行います。
この処理をきちんと行うことで、魚の鮮度を長く保ち、帰宅後もおいしい真鯛を味わうことができます。
⑥帰港して釣り終了
釣りの時間が終わると、船長の合図で仕掛けを片付け、港へ戻ります。
帰港後は魚を持ち帰る準備をして解散となります。多くの船では、魚を冷やすための氷を用意してくれることもあります。
忘れ物がないか確認し、船長や一緒に釣りをした方へ挨拶して、一日の船釣りは終了です。
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まとめ
船釣り初心者でも、出船前の準備や当日の流れを知っておけば、安心して釣りを楽しめます。
船長の説明をよく聞き、安全のための決まりを守ることが、楽しい一日と最初の1匹につながります。
タイラバでは、フォール中の変化を見逃さず、着底後すぐに巻き始め、竿尻を脇に挟んで一定の速さで巻くことが大切です。
準備を整え、真鯛の力強い三段引きと、船釣りならではの感動を味わってください。

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